（明治１５年〜昭和３３年）洋画家
東京・下谷出身。日本画家・石井鼎湖の長男。大正６年、日暮里渡辺町筑波台１０３５番地に転入。１０歳の時、日本美術協会に日本画を初出品。明治３５年、太平洋画会会員になる。明治４０年、主宰として、山本鼎、森田恒友らと雑誌「方寸」を創刊。日本の洋画形成期に活躍。

（安政６年〜昭和８年）社会運動家
岡山県出身。明治４１年、田端６１３（４−１９）番地に転入。２５歳で渡米、苦学してエール大学を卒業。帰国後キリスト教的社会改良運動を興す。幸徳秋水らと社会主義研究会を設立。大逆事件、ロシア革命の影響による弾圧を逃れてロシアに潜入、同地で客死。

（明治３２年〜昭和年）鋳金家
東京・小石川出身。香取秀真の長男として誕生。昭和６年、秀真宅から独立し、田端５００（２−１０）番地に転居。帝展、日展などで活躍。昭和２８年、日本芸術院賞受賞。昭和４２年、広島平和の鐘を制作・寄進。「平和余韻の鐘」と銘うった梵鐘づくりに生涯をささげ、全国各地に１５０を超える名鐘を残す。人間国宝に認定。

（明治２２年〜昭和２６年）美術評論家・画家
長野県出身。明治４３年、田端３３５（１−１９）番地に転入、終生の地とする。板谷波山に魅せられ画筆を捨てて陶芸の道に進み、東京帝室博物館の陶磁器主任となる。陶磁器の批評と収集の天才といわれる。芥川龍之介らと親交あつく「道閑会」メンバー。

（明治１７年〜昭和６２年））彫刻家
長崎県出身。明治４０年、生涯の友となる建畠大夢とともに東京美術学校へ入学。その頃、滝野川村西ヶ原の農家に下宿する。大正１０年、彫刻家団体「曠原社」創設を機に西ヶ原７１番地の同研究所に転居。日展会長などの要職をつとめ文化勲章、文化功労賞を受ける。長男・治禧も彫刻家として活躍。

（明治４２年〜昭和６０年）小説家・評論家
東京出身。芥川龍之介の甥（姉の長男）にあたる。大正１２年、芥川龍之介宅田端４３５（１−２０）番地に転入。堀辰雄らが発行した雑誌「驢馬」の同人として第１１号から参加、幻想的な小説を発表。昭和２年、岩波版「芥川龍之介全集」の編纂に堀辰雄とともに専念。芥川没後、原稿、資料を整理し「芥川龍之介未定稿集」「芥川龍之介未定稿・デッサン集」などを編集刊行する。

（明治２２年〜昭和３８年）小説家・劇作家・俳人
東京・浅草出身大正１２年、震災後日暮里渡辺町筑波台１０３２番地（石井柏亭の隣家）に転入し、芥川らと親交をもつ。森鴎外らの「三田文学」に小説「朝顔」を発表し好評を得る。限られた特殊な社会の日常生活を描き、抒情的写実主義を作風とした。文化勲章を受章。俳号・傘雨
（さんう）

（明治２５年〜昭和４年）俳優
滋賀県出身。田端５６５（６−４）番地に転入（年代不詳）。坪内逍遥の文芸協会演劇研究所で俳優修業ののち、新国劇を結成し新富座で旗揚げしたが成功せず、関西で苦闘の末、「国定忠治」などの剣劇に独特の殺陣を取り入れて人気を博す。大正１０年、明治座で再度上京興業。以来、新国劇の全盛期を現出。「沢正（さわしょう）」の愛称で親しまれた。

（明治３７年〜昭和３７年）洋画家
新潟県出身。昭和元年、田端５１３（３−２４）番地にアトリエを築き転入。文展、帝展、太平洋画会で活躍。空襲でアトリエを焼失、木曽三岳村に独居して創作活動を続ける。木曽で描いた「水車への流れ」戦後の第２回日展の特選、政府買い上げとなる。

（明治３年頃〜昭和２２年）医師・書家
長野県出身。明治４０年、田端３４８（１−１５）番地に「楽天堂医院」開業。陸軍軍医として日清、日露戦争等に従軍。田端鉄道病院の嘱託医師を勤める。開業後、多くの文士、芸術家たちと交遊、「道閑会」の主要メンバー。芥川龍之介の主治医として最期をみとる。雅号・空谷

（明治３１年〜昭和３７年）歌人
東京・本所出身。昭和５年、４４０（１−２０）番地に転入。家業の下駄の塗り仕事をしながら短歌を作り始め、大正５年に「アララギ」に入会。労働する若者の生活を表現し、認められる。関東大地震で母と３人の妹を失い、「アララギ」編集所に入居して島木赤彦を手伝うことになる。同１５年には選歌担当者に選ばれる。赤彦死後『赤彦全集』刊行。

（明治１７年〜昭和９年）画家・詩人
岡山県出身。大正１０年頃、モデル・お葉宅の田端１５６（３−１６）番地に寄宿。苦学時代、投稿したスケッチ文が読売新聞に掲載。一時、文学を目指したが、転じて絵画の道に専心。放浪の生活と悲恋によって傷ついた心を、絵と詩の中に純粋に表現する「夢二式美人画」は、明治末から大正初期にかけて一世を風靡する。

（明治３６年〜昭和５１年）詩人・社会運動家
兵庫県出身。室生犀星に師事し、大正１５年、堀辰雄らと雑誌「驢馬」を創刊。この頃田端に居住（詳細不明）。のちプロレタリア文学運動に参加し、政治活動をはじめる。昭和９年の検挙後、終戦まで獄中生活をおくり、その体験をうたった詩、短歌、俳句などをまとめた詩集「編笠」は代表作。

（明治１６年〜昭和２５年）英文学者・能楽研究家
大分県出身。安倍能成らと夏目漱石に師事。東京帝国大学在学中に同郷の弥生子と結婚。大正９年、日暮里渡辺町１０４０番地に転入、田端人との交流が盛んになる。西欧文学の翻訳、研究のほかに能楽研究家でもある。法政大学総長を勤め、終生同大学の発展に尽力する。雅号・臼川（きゅうせん））

（明治１８年〜昭和６０年）小説家
大分県出身。同郷の野上豊一郎と結婚。夫の紹介で夏目漱石門下生となる。豊かな教養と人道主義の立場、精緻な観察眼と精神のみずみずしさを持ち続けた。昭和４６年、文化勲章受章。

（明治１１年〜昭和１３年）実業家
群馬県出身。田端５０７（３−２３）番地に別邸を置く（詳細不明）。明治４２年、東京帝国大学緑会弁論部を創設。同４３年、大日本雄弁会を設立。翌年には、雑誌「雄弁」を創刊。ついで講談社を設立して「大日本雄弁会講談社」と命名。以来、雑誌を中心に事業を拡大し「講談社文化」と呼ばれ、大衆文化の形成に寄与した。

（明治３１年〜昭和５３年）狂言師
東京・本所出身。第五世野村万蔵（萬斎）の長男として誕生。昭和１１年、田端６５０（６−６）番地の鹿島龍蔵邸の敷地内に居をかまえ戦災まで住まう。昭和１５年、六代目万蔵を襲名。太郎冠者狂言を得意とし、歯切れよい芸風は洗練され、著作も多く残す。文部大臣賞受賞、人間国宝認定。

（明治１８年〜昭和２７年）編編集集者・テニス選手
山形県出身。大正元年頃、田端５０６（３−２４）番地のポプラ倶楽部に転入。昭和元年頃、田端５２１（５−５）番地に転居。早稲田大学卒業後、新聞社に勤務。大正元年、押川春浪の武侠世界社に入社、主筆を勤める。日本庭球協会理事および顧問、日本体育協会会賓など歴任。小杉放庵らのポプラ倶楽部に合流、中心的役割を果たす。

（明治３６年〜昭和５９年）詩人・俳人
東京・日本橋出身。大正８年、家業の小間物問屋を継ぐことを嫌い、田端６２１（５−１２）番地あたりに小牧場を入手して山羊数頭を飼い、伯母たちと一緒に生活を始める。この頃、室生犀星の知遇を得て詩作に入る。大正１１年、犀星に頼まれポプラ倶楽部の番人を引受け住込む。大正１５年、田端４０９（１−２３）番地に転居。同年、犀星の序、芥川龍之介の跋を付した詩集『若冠』を上梓。また堀辰雄、中野重治らと雑誌「驢馬」を創刊、第７号まで同人となる。

（明治７年〜昭和３９年年）教育者（府立第三中学校校長）
石川県・金沢出身。大正３年、田端５２３（５−５）番地に転入。芥川龍之介が府立第三中学校（現・両国高校）在学中の５年間を受け持つ。芥川が最も信頼した恩師の一人。同じく府立三中の教え子である堀辰雄を隣家の室生犀星に紹介。それが堀の文学界入りのきっかけとなる。

（明治７年〜昭和１１年）洋画家
岡山県出身。小山正太郎の不同舎に学ぶ。渡仏・帰国後の明治３４年、太平洋画会結成に参画。文展、帝展、帝国美術院で活躍。この間、再度の渡欧、数回の中国行きがあり、写実的な画風から、印象派の影響を受けた平明な装飾的画風に移る。田端在住の詳細は不明。

（明治１４年〜昭和８年）洋画家
埼玉県出身。明治３４年、東京美術学校入学以前から小山正太郎の不同舎に学ぶ。明治４０年、石井柏亭らと雑誌「方寸」を創刊。翌年、柏亭、北原白秋らと「パンの会」創設。二科会会員、日本美術院同人となるが脱会、大正１１年、同士と「春陽会」を設立。南画の伝統を近代絵画によみがえらせた画人の一人。田端在住するも詳細は不明。